任意組合に対する課税については、組合(組合財産)と組合員の法律関係についての解釈を通じて、実質主義を基調とする税法と調和することが肝要となろう。
任意組合の問題点については、民法上の組合規定の多くが任意規定であることから、現実の組合は多様性を有し、その団体性の性質の濃淡は様々であり)、資本参加によって事業活動を営むために組成され、組合が固有の財産を持ち、その財産と組合員の役務提供とが庫然一体となっている組合も多くなっている。
人格のない社団と任意組合とは、原理的に異なるものであるとされる。
税法上も「人格のない社団等は法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの」と定義されながら、ある団体が「法人でない社団」であるか「任意組合」であるかを区分するのは実際上極めて困難であることが多い。
両者を区分するメルクマールは必ずしも明確とはいえない。
しかし、任意組合が法人格のない社団と認定されれば組合員への導管性は否定され、法人と同様の課税がなされる7)。
つまり、両者は実態としてかなり近接していようとも、税務上の取扱いの上では大きく相違する。
税法上の「人格のない社団」はいわゆる「権利能力のない社団」であり、任意組合を含まないと解されていることは、国税徴収法第41条(人格のない社団等に係る第2次納税義務)の規定及び法人税基本通達1−1−1(法人でない社団の範囲)からみて首肯される。
しかし、既述したように、具体的にどのような団体がこれに該当するのかは明確でないことが多い。
けだし、任意組合の団体性の濃淡は様々であり、ある団体について「統一された意思」、「構成員の個性からの超越」を認識し、区分することが困難なことが多いからである。
任意組合を用いた不動産の証券化の進展が予想され、その識別を明確にする基準が必要と思われる。
回現物出資時に係る問題(1)(財)土地総合研究所による「約款等報告書」に掲示されている任意組合型では、不動産の所有者が不動産の共有持分を複数の事業参加者に売却し各事業参加者にその所有権を移転し、事業参加者は取得した共有持分権のすべてを現物出資する仕組みとなっている。
しかし、国税庁長官通達においては、出資に伴う物権変動については何ら言及されておらず、また任意組合の組合員が脱退し各組合員の持分に変動があった場合の税務上の取扱いについても言及されていない。
民法上の文言に則すれば、「組合契約」とは「各当事者力出資ヲ為シテ共同ノ事業ヲ営ムコトヲ約スル」(民667@)契約であり、この契約によって創設される共同事業のための団体が組合といえる。
すなわち、組合契約とは組合という団体を創設し各当事者がその組合員となるための合意である。
組合契約により、各当事者の出資は結合されて「組合財産」という特別財産が組成され、各当事者はその上に合手的な持分を有するという関係になり、他の典型的契約(例えば、売買や賃貸借等、すなわちAの給付はBに帰属し、Bの給付はAに帰属するというように当事者間で給付が交換される契約)とは異なった特色を有している。
既述したように、組合契約の性格については種々議論がある。
組合における対内・対外のすべての法律関係は、契約的性格と団体的性格との複雑な交錯関係で展開し、任意組合への現物出資も、組合契約に基因する出資行為であるという契約の履行的側面と、出資によって組成される組合財産の組合員の私的財産からの独立性という団体的側面を認めるという複雑な交錯関係にあり、その団体性を弱く見るか強く見るかによりその性格付けも異なろう。
学説においては、組合契約の性格について、大きく二つに分類されている。
組合契約を双務契約とみる「双務契約説」と合同行為とみる「合同行為説」である。
@双務契約説契約に関する一般の規定が制限的ではあるが適用され、当事者問の物権の変動に関してはこれを当事者間の給付交換としてとらえる考え方である。
すなわち、出資財産の一部についてだけ物権変動を認めることとなる。
例えば、Aが現金1,000万円を出資し、Bが時価1,000万円(出資直前簿価500万円)の土地を出資する組合契約とする。
この場合、Aは出資した現金の自己の持分500万円(1,000万円×粉を留保し、残り500万円でBが出資した土地の500万円相当額の持分を取得する。
一方、Bは出資した土地の簿価250万円(500万円×艶)相当額の持分を留保し、残りの簿価250万円(500万円×強)相当額の土地をAに譲渡したこととなる。
その結果、Bは土地の現物出資により、250万円(500万円-250万円)の利益が実現したことになる。
A合同行為説原則として契約に関する一般の規定の適用を否定し、当事者間の物権の変動に関してはこれを当事者間の給付交換としてとらえず、社団におけると同様に組合財産を一個の目的財産とする考え方である。
すなわち、出資財産の全部について物権変動を認める。
前記@の例で説明すれば、A、Bともその持分の留保がない状態で、任意組合に財産(土地及び現金)を移転させることになる。
その結果、Bは土地の出資により500万円(1,000万円-500万円)の利益が実現したことになるとの考え方ができる。
このように、現物出資又は組合員の加入・脱退の場合、組合契約の性質を双務契約とみるアプローチをとれば出資財産の一部についてだけ物権の変動を認めることとなり、出資財産及び共有財産につき全組合員の持分以外の部分に変動を認める。
これに対し、合同行為とみるアプローチをとれば出資財産の全部について物権の変動を認めることとなり、社団における出資の場合と同様の処理も考えられ、物権の変動はその出資した組合員に限定される。
現行の事実上の取扱いをみてみると、結論的には、基本的な組合契約については双務契約とみるアプローチに従った処理となっているように思える。
すなわち、任意組合を設立するに当たり、譲渡所得の基因となる資産を出資した場合の課税関係は、出資した資産のうち、その資産を出資した者の持分以外の部分は、他の組合員に譲渡したこととされているものも見受けられる)。
ただし、任意組合の団体性の濃淡は様々であり、すべての任意組合を一律に律しようとすることは適切ではないように思える。
また、この取扱いに関して活発な議論はなされておらず、明確にされているわけではない。
(2)この問題を考えるにあたって、類似する米国のパートナーシップの税務上の取扱いについて、若干の考察をする。
米国のほとんどの州で採用されている統一パートナーシップ法では「パートナーシップとは2名以上の「者」が営利を目的に共同所有者として事業を遂行する団体である」と定義されており、パートナーシップの組成に当たって、納税義務者がパートナーシップ持分と交換に資産を拠出する場合、当該交換については、パートナー及びパートナーシップの両方に課税関係が生ずるか否か議論が生ずる。
課税関係が生ずるとすれば、パートナーの段階では、パートナーシップ持分の公正な市場価額と拠出資産の調整基準価額(adjustedbasis)との差額に相当する額を利益又は損失として認識しなければならない。
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